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ルーマニア記 14

コンサートの翌日。

 

ホテルの朝食がいまいちなので、この日は、ドラマー、ヴォーカル、私の三人で街に朝のコーヒーでも飲みにいこう、ということになった。

 

ホテルをでて少し行くと、もうすでにヴォーカルが路上でサインをもとめられている。

ちょっと羨ましい。

 

ドラマーとふたりで、

「どうせ、俺たち後ろだし、固定系だからさ、目立たないんだよね、、、、」

 

とすねながら、ヴォーカルが人々に囲まれて、大変モテている様子をながめた。

(注 移動系=ヴォーカル、ギター、ベース。固定系=ドラム、キーボード)

 

少し先にいくと喫茶店らしきお店がみえてきた。

中に入ろうとすると、ウェイターが入り口まで出てくる。

 

コーヒーと軽い朝食が欲しいことを伝えると、

「あいにくコーヒーをきらしている」という返事。

 

えっ?コーヒーがない?喫茶店で?

 

どうすれば、喫茶店でコーヒーを「きらす」ことができるのか、大変疑問に思いながらも、他の店へ。

 

しかし、なんとそこにも、コーヒーは「今」ない、という。(それじゃあ、いつあるのだろうか)

 

結局、3件ばかり喫茶店をまわったが、コーヒーが飲める店はなかった。

 

さすが、ルーマニア、いろいろなフェイント攻撃をしてくる。

 

しかたがないので、ホテルにもどることにするが、帰り道で外まで行列になっているお店を発見。

 

何かと思ったら、ケーキ屋さんのようだった。

ホテルにのこっているメンバーにもケーキでも買っていってあげようと、列にならぶことにする。(というかクロワッサンがほしかった)

 

すごく人気のケーキ屋さんなんだろうなあ、、、と感心しながら、店内をみまわすと、シャンデリアに大理石、とかなりゴージャスな内装。

 

ケーキも一応フランス菓子っぽい。(ミュンヘンにはフランス菓子はほとんどない)

かなり待ったうえにクロワッサンはなかったけれど、ケーキを数個選んでホテルにもどる。(日本のように箱入り!ドイツではケーキを買っても箱にはいれてくれない)

 

購入したケーキをもって、ギターとベースの部屋にいくと、二人はまだ半裸でベットのなか、、、。(あ~あ、これだから男ばっかりのバンドは、、、)

 

しかも、なぜか全然知らない男性がその横にすわっている。

 

ちょっとびっくりしてしまったが、何でも、昨日のライブをみて、うちのギタリストに惚れ込んでしまったルーマニアのギター小僧がホテルまでおしかけてきたらしい。

 

初グルーピー登場。

 

彼らが片言の英語でギター論を語っているなか、私はベットの横にすわってケーキを食べることにする。

 

しかし、

ひとくち食べて、、、、、。

 

まずっっっっ!まず過ぎだよ、このケーキ!

 

この味は半端じゃない。

 

ケーキの姿は一応しているが、味は想像を絶するものなのである。

 

特に生クリームがあやしくて、たぶん牛乳は1滴も入っていない、と思われる。

日本にも植物性生クリームという代物があるけれども、(ドイツにはない)あれとも別物だ。

 

気のせいか、少し石油くさい。

 

ケーキは小麦粉、バタ-、砂糖、卵、生クリームは牛の乳から、と思っていたが、これはなにか他の材料で出来ているにちがいない。

(考えてみればすごい技術である。)

 

残念ながら、どうしてもそのケーキ食べ続けることが出来なかった私は、そのとき部屋にはいってきた担当者から新聞記者がインタビューのためにロビーでまっていることを聞かされて、下へ降りることにしたのだった。

 

つづく