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ルーマニア記 8

朝食をとりに下へおりると、もう担当者と通訳の人が待っていた。

朝ごはんを食べながら、打ち合わせをする。

 

なんでもこの後、記者会見が他のホテルであるらしい。

 

私は、靴紛失という災難にみまわれ、ステージ用パンプスしか履くものがないという危機状態なので、靴を購入したい旨を通訳のひとに伝えると、記者会見とサウンドチェックの間に自由時間があるとのこと。

 

ひとまずホっとする。

 

まずは、その記者会見とやらにいくために、身支度をする。

(なにせ、靴がステージ用パンプスなので、それにあう格好をするのに一苦労である。)

 

記者会見がおこなわれるのは、ASIAが泊まっているホテルだ。

なかにはると、、、

 

すごい人!

 

と同時に我々はフラッシュの嵐のなかにたっていたのである。

 

すっ、すごいぞ!

 

ジャーナリストたちはきちんと宿題をしてきたらしく、もうすでに我々の名前も顔も知っているのだった。

(これには、本当に驚いてしまった。)

 

大広間のようなところに案内される。

 

ソファーにすわらされて、ポーズのリクエストにこたえながらのフォトセッション。

質問がいろいろとくるが、そこは、リーダーのドラマーとヴォーカルがすべて対応してくれているので、私はただすわって(ロックスターっぽく)ポーズをとるのみ。

 

ふふふ、楽勝、楽勝。

 

一通り質問も出終わったところで、

「それでは、私はこれで、、、、(ドロン)」と思って席をたとうとすると、、、、

 

ジャーナリストが1対1のフェイント攻撃をかけてきた。

 

逃げる私。

 

追いかけるジャーナリスト。

 

手で拒否ポーズをしながらなおも逃げる私。

あきらめないジャーナリスト。(ヒエー)

 

困ったことに、私が断れば断るほど、彼らはしつこくせまってくるのである。

これはまさに、女がつれない様子をみせればみせるほど、燃え上がる「カサノバ」現象ではないか!

 

しかも、気がついたら、とりまくジャーナリストの数も増えている。

(囲まれた、、、、)

 

、、、にげみちはもうないのか。

 

相手も必死だ。

 

たぶんきまぐれなロックミュ-ジシャンがインタビューにのってくれない、、とでも思っているのだろう。

 

それは、ちがう。ちがうのだ。

 

私は、ただ何も言うことがないだけなのである。

けっしていじわるをしているわけではない。お願いだから信じてほしい。

 

「ファンに一言おねがいします!」

 

なんていわれても、「私」のファンが、ここルーマニアにいるとは、どうしても思えない。

しかし、彼らの目は、「インタビューもらうまでは、絶対にかえさない!」と、血走っている。(ようにみえる)

 

しかたなく、

「ルーマニアでパフォーマンスできてうれしいです。」なんて月並みなことをいってみる。

しかも、しめくくりに、「keep on rock'in」のおまけ付き、、、。

 

これがルーマニアのラジオやTVでながれるのかとおもうと、恥ずかしくて生きた心地もしない。

 

こんなことを言うくらいなら、いっそのこと、ジャーナリストの一人や二人はり倒していたほうがましだった。

 

今日の教訓。

口は災いの元、ロックミュージシャンたるもの、信念をもって自分の意志を貫くべきである。

 

つづく